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中等科・高等科校長 烏田 信二
2022 年度 1 学期始業式
皆さん、おはようございます。
中等科 1 年生、高等科 1 年生の皆さんとは、昨日の入学式でお目にかかりましたが、中等科 2 年生、3 年生、そして高等科 2 年生、3 年生の皆さんとは、2022 年度になってから、正式にお会いするのは、今日が初めてです。
皆さん、ご入学、そして、ご進級おめでとうございます。新しい学年のスタートにあたり、気分も一新し、様々なことにチャレンジし始めてください。
私自身も新米校長としての学院生活がスタートいたしました。慌ただしい毎日ですが、皆さんの成長を楽しみにしつつ、皆さんと共に学び、より良い 1 年にして参りたいと思います。よろしくお願いいたします。
今年度の目標は学校目標である「光と塩」です。何度も聞いている「光」と「塩」ですが、それを育んでいくためにも改めて各学年のテーマを確認しておきましょう。
中 1 のテーマは「自分との出会い-自分をよく知り自分の生き方を考える」です。 まずは自分の良いところ、自分の中にあるかけがえのない宝ものを探していきましょう。それを通して自分を大切にする姿勢を身に着け、自己肯定感を高めていきましょう。
中 2 のテーマは「自分と他者との関わり-自分と他者との関わりを広げ、コミュニケーション能力を育てる」です。自分だけでなく、周りにいる友だち、家族、知り合いの中に「光」と「塩」を見つけ、尊重していく姿勢を身につけましょう。
中 3 のテーマは「社会の中での自分-社会の問題を認識し、自分に問われていることが何かに気づく」です。自分の身の周りだけでなく、広く社会に目を向けて、世界のあちらこちらで起きている問題と自分との関わりを見つけ、自分にできることを探していきましょう。
高 1 のテーマは「自然の中での自己発見-自然の大切さを理解し自己認識を深める」です。大自然に目を向け、その中のほんの一部である自分を再認識し、地球規模の環境問題や宇宙にも目を向けてみましょう。
高 2 のテーマは「社会の中での自己発見-社会に育まれていることを感謝し自分の責任を自覚する」です。高 2 は委員会活動や部活動など学校社会の中で中心的な存在となります。同時に大学受験をはじめ、卒業後の進路を本格的に考える学年となります。学び舎光塩で育んできたものを卒業後どのように社会に還元していくのか、問い続ける 1 年にいたしましょう。
高 3 のテーマは「Women for Others-他者のために生きることを喜びとし自分の将来を考える」です。学び舎光塩で過ごす最後の年となります。喜ぶ人と共に喜び、悲しむ人と共に悲しむ心の広さを培い、社会へと羽ばたく出発の準備をいたしましょう。
さて、皆さんがご自身の内にある「光」と「塩」をより豊かに育んで行くために 1 つの教育理論を紹介いたします。ハワード・ガードナーという方が唱えたマルチ能力理論です。トーマス・アームストロング著・吉田新一郎訳・梅林裕美協力「マルチ能力が育む子どもの生きる力」(小学館)に分かりやすく紹介されています。
それによると、人間には 8 つの能力があるそうです。その 8 つの能力を今から挙げてみますので、皆さんは 8 つの能力のうち、どれを最も用いているか、どれが得意で、どれが苦手か、ちょっと考えてみてください。
1 つ目は、言語能力。読んだり書いたり話したり「ことば」を使う力です。国語に限らずあらゆる場面で必要な力です。
2 つ目は、 論理的・数学的能力。「数字」を使う力です。これも数学に限らず、お金の勘定や計画性などに必要な力です。
3 つ目は、空間能力。絵や図形で物事・現象をとらえる力です。美術に限らず、数学や地理、地図を見てどこかに行く、道を覚えるなど、そのような時に必要な力です。
4 つ目は、身体・運動能力。体育ばかりでなく、お料理や編み物など、体を使って学ぶ力です。
5 つ目は、音感能力。音楽は奏でることもできますし、聴くこともできますし、歌うこともできます。様々な表現と鑑賞が可能な力です。
6 つ目は、人間関係形成能力。人と接すること、コミュニケーションをとること。言葉だけでなく体も使って様々な方法で可能です。これは中2の学年目標ともかかわりがあると言えます。
7 つ目は、自己観察・管理能力。自分を見つめる力です。これは中 1 の学年目標ともつながりがあると言えます。
8 つ目は、自然との共生能力。植物や動物を観察したり、世話をしたりする力です。これは高1の学年目標とかかわりがあると言えます。
さあ、いかがでしたか?
トーマス・アームストロング氏の解説によると、この 8 つは、得意・苦手はあるものの全員に備わっているものとのことです。私たち人間は、一人の人を見る場合でもとても幅広く、奥深い存在であると、この理論からも認識できます。
ハワード・ガードナー氏は長年の研究と教育実践を通して人間の 8 つの能力を見つけた訳ですが、人間にはもっと多くの能力、力が備わっているかもしれないと考えているようです。ここでは、教育理論ですので「能力」という面から人間を見つめていますが、「光と塩」には、「能力」という言葉を超えたさらに広く深い意味があるように思います。是非、この 1 年一緒にご自身の中にある「光と塩」を新たに見つけ、磨きをかけて参りましょう。
最後に、中等科 2 年生以上の学年の皆さんに春休みの宿題の確認です。ウクライナとロシアの平和のために行ったことありましたら、教えてください。小さなことで構いません。校長室まで来て話してくださっても結構ですし、通りがかりにお声かけいただいても構いません。よろしくお願いします。
2022 年度が希望に満ちた心豊かな日々でありますように。皆さんお一人おひとりが充実した 1 学期を過ごされますようお祈りいたします。
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