About Koen
中等科・高等科校長 烏田 信二
2024 年度 第 91 回 高等科卒業式
ひと雨ごとにあたたかくなり、春の空を渡る風にのってほのかに花の香りが漂う頃となりました。
第 91 回卒業生の皆さん、そして保護者の皆様、光塩女子学院高等科ご卒業おめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。
光塩の中等科に入学なさった頃、まだあどけなさを残していた皆さんが今は立派に成長され、その自覚と誇りを胸に、ついに今日という旅立ちの日を迎えています。この旅立ちの日にあたり、共にこの 3 年間を振り返ってみましょう。
皆さんが高等科に進学した 2022 年は、新型コロナウイルス感染症の心配も落ち着いてきて、制限はあったものの、多くの学校行事を開催できるようになりました。光塩祭も規模を縮小した形ではありましたが、しっかり準備した上で実施できました。7 月には光塩山荘に行くことは叶いませんでしたが、日帰りにて自然教育園で楽しいひとときを過ごしました。体育祭も所沢市民体育館にて 6 学年が一堂に会して開催できました。親睦会では、和風、洋風、カジノとユニークな趣向を凝らした三種類のゲームコーナーで来場された方々を楽しませました。日々の学院生活においては、楽しいことを発見しては集まり、廊下や校庭で笑顔いっぱいに談笑していた皆さんの姿が印象に残っています。
高等科 2 年生の時には、9 月の体育祭において対抗競技、応援合戦の両方で優勝するという快挙を成し遂げました。その勢いのままに 10 月には念願叶い、中等科の時、実現できなかった宿泊を伴う修学旅行に出かけ、奈良・京都をあふれる笑顔で満喫しました。一人ひとりがお互い楽しめるよう気を配っており、引率した教員をもその楽しさの中に引き込んで行き、皆さんばかりでなく共に過ごした全員にとって思い出深い 3 泊 4 日となりました。親睦会においては、学年企画として縁日およびフォトスポットを準備、開催しました。訪れた方々を持ち前の笑顔で迎え、楽しませていました。クリスマス会においては、校内合唱コンクールでロッシーニ「愛」を見事に歌い上げました。この曲はコロナ禍に入る前は高等科卒業式で歌っていた曲ですが、コロナ禍のため式中で歌うことを中断していたのです。その曲を再び卒業式で歌えるよう皆さんは、その道筋を開いてくれました。
高等科 3 年生になっての、4 月の光塩祭では「綾」というテーマのもと、各々の持ち場で立派に活躍し有終の美を飾りました。体育祭においては、自分たちで新たな目標を設定して用意周到に作戦を立て実行し、見事圧巻の 2 年連続対抗競技、応援合戦ダブル優勝を果たしました。クリスマス会校内合唱コンクールでは、この学年の皆さんならではの団結とすばらしい集中力で野田洋次郎作「正解」を情感豊かに歌い上げ、聴く人の心を揺り動かし見事に堂々たる金賞を受賞しました。
こうして振り返ってみると、皆さんの周りは、いつも明るく、光塩祭のテーマ「綾」の意味するところのように、一人ひとりが一本一本の糸となって交わり支え合って美しい彩りを綾なし一緒に様々な華やぎに満ちた3年間を織り上げてきたと言えるでしょう。
担任の先生に皆さんの印象や思い出を尋ねたところ、次のようなものが挙げられました。
・学校が大好きで、遅刻や欠席も少なく気持ちの良い学年であった。
・元気でのりがよく、各行事でリーダーシップをとる人が出て来て、皆がその指示を受け入れて協力しよく支えていた。それ故に学年全体が一つになれた。
・熱した時のエネルギーが強く素晴らしい瞬発力で物事をやり遂げた。これらは体育祭や合唱コンクールで発揮されました。
・教員とも仲間どうしでもよくコミュニケーションを取りながら過ごすことができた。そのため、授業も活気に溢れやりやすく学び合いができていた。グループワークの際もお互いの良いところを探し、褒め合い高め合うことができていた。
・体調を崩して課題をグーグルクラスルームに出すと、優しいコメントが送られてきて嬉しかった。何事にも臆することなく積極的に挑戦していた。新カリキュラムで先がよく分からず不安なところをよく頑張っていた。
・新しい担当者を快く迎え入れてくれるので、初めて接した時もアウェー感が全くなく心地良かった。受験の際も連絡をこまめにしてくれた。一緒にいて楽しかった。厳しい指摘を受けてもへこたれず落ち込まず、前向きに物事に向き合えていた。
とのことです。
これらのお話から伝わってくるのは、皆さんは、裏表なく笑顔を絶やすことなく底抜けの明るさであらゆる困難を乗り越えてきたということです。目先の結果や小さなことにこだわるのではなく、お互いに尊敬し合い、良いところを見つけ合って称え合い、高め合う日々を過ごしてきたということの何よりの証であると思います。
さて、これから光塩を旅立つ卒業生の皆さん、世界には答えが見いだせない、正解が分からない問題が多くあります。2022 年 2 月から始まり未だ続いているロシアとウクライナの戦争、長い歴史の中で積み上げられ増幅した憎しみが顕在化しているイスラエルとパレスチナのガザをめぐる問題、便利さ、快適さを追求するあまりバランスを崩して各地で起きている地球規模での環境問題、他にも多くの問題が山積しています。
しかし、皆さんはこの学び舎光塩で、お互いに心を開いて信頼し合い喜びのうちに協力して、様々な問題に向き合ってきました。きっとこれらの問題解決に向けて何かの力になれるはずです。これまで共に歩み培うことでいただいた多くの恵みあふれる関わりに感謝して、これからはそれぞれの新しい場でその「光」を人々の間に輝かせ、人々の中に溶け込んで味をつける「塩」となってください。与えられた新しい場でこれまで同様、皆さんの周りに Women for Others を実現してください。
そして、もしも頑張りすぎて疲れたならば、少し休みに戻ってきてください。あなたがたはありのままで素敵なかけがえのない地の塩であり、世の光です。そのことを改めて実感し快復したら、また旅立てば良いのです。
最後になりましたが、保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。 このように成長なさったお嬢様方を、今日一層頼もしく、誇らしく感じていらっしゃることでしょう。お嬢様方のご卒業はご家族の皆様方にとっても、まさに一つの区切り、「卒業」の時でもあると思います。お慶び申し上げます。
本日、この晴れの卒業式に居合わせ、お一人おひとりに卒業証書をお渡しできましたことは、私にとって大きな喜びです。間近にお顔を拝見し、6 年間の成長の証をひしひしと実感いたしました。これから、さらに成熟なさり、世界に羽ばたかれ、ご活躍なさることを確信しております。
お嬢様方が在校中に、充実した学校生活を送ってくださったことは、保護者の皆様のご協力・ご支援の賜物と、心より御礼申し上げます。
卒業生の皆様お一人おひとりの、今後のますますのご成長とご多幸、ご活躍を心よりお祈り申し上げて、お祝いと感謝のご挨拶とさせていただきます。
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