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中等科・高等科校長 烏田 信二
2023 年度 3 学期始業式
皆さん、あけましておめでとうございます。 皆さんお一人おひとりがご家族と共に、和やかで健やかなクリスマス、そして年末年始を過ごされたことと思います。
お年賀状をくださった方々、ありがとうございました。充実した冬休みを送っていらっしゃる様子を伝えてくださった方、昨年一年を振り返った上で、できたこととできなかったことを自己分析して、今年の目標を立てたいきさつを教えてくださった方、また、その具体的な目標を教えてくださった方もいました。挑戦し始めたことをより深めていきたい、今年はボランティア活動をもっとしたい、英検頑張る、興味の幅を広げていきたい、やりたいこととやらなければならないことの時間配分をバランス良くしていく、メリハリをつけるなど、どれも頼もしく感じました。皆さんからの希望に満ちたメッセージのおかげで私も晴れやかな気持ちで皆さんと一緒に学びを進めていこうと決意を固め、今日という日を迎えることができています。感謝申し上げます。
いよいよ今日から 3 学期が始まります。
冬休みの間、東京は晴れの日が多く、比較的穏やかな日が続いていました。しかし、日本全国に目を向けてみますと、元日の夕方には令和 6 年能登半島地震が起こり、多くの方が亡くなりました。また今も多くの方が避難生活を余儀なくされています。2 日には、羽田空港滑走路で日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機が衝突するという痛ましい事故がありました。被災された方々、事故に遭われた方々の痛みを想い、私たちにできることを探して参りましょう。そして共に祈りましょう。
さて、 2 学期終業式の際にも触れましたが、今年度の目標「自己肯定感を高めよう」(自分との出会い)について、中島輝著「自己肯定感の教科書」(SBCreative)に沿って、ここでもう一度考えてみたいと思います。この本によると、「自己肯定感」とは、自分が自分であることに満足し、価値ある存在として受け入れられること。言わば、私たちの人生の軸となるエネルギーとのことです。このエネルギーがあれば、日々の生活の中で、「楽しい!」「大丈夫!」と思えることが多くなるとのことです。しかし、この自己肯定感は、状況によって変化し、高くなる時もあれば、低くなったまましばらく停滞してしまうこともあるようです。また、人によって歩んできた環境は異なりますし、性格も異なりますので、自己肯定感の総量の多い人と少ない人、言い換えると、自公肯定感の強い人と弱い人がいるようです。皆さんは自分を振り返ってみていかがでしょうか?あるいは、今日の自分は昨日や一昨日の自分と比べてみてどういう状態でしょうか?
では、この自己肯定感が少ないこと、弱いことは悪いことなのでしょうか?中島輝氏は次のように述べておられます。「自己肯定感が弱いということは、それだけ、人生の中で心の痛みを経験するということでもあります。だから、その経験によって、人の心の痛みも理解できるのです。それだけ人に優しくなれる。それはあなたの大いなる長所でもあるのです。もし、あなたが、つらい思いをすることが多いなと感じているならば、それだけ、人のことを思いやる力があり優しい人間でもあると考えてください。」
これを読んで私は、私の尊敬する仏教を信仰している方が仰っていたことを思い出しました。その方は「憂いを知る人になりなさい。憂いを知る人は優しい人です。」と何度も私に仰いました。皆さんも過去に辛い思い出したくない出来事が一つや二つはあるかもしれません。それは、きっとこれからのより良い歩みにつながるということなのだと思います。
一方で自己肯定感が強いということは、「自分にYESと言える状態」=「自己肯定感の高い状態」をキープできているので、楽観的に物事に取り組むことができます。従って何かトラブルがあっても、気持ちを切り替えて解決策を模索し、行動することができます。
「大切なことは、自分の自己肯定感は今強いのか弱いのか中くらいなのか、どんな状態になっているのかに気付くこと」とのことです。なぜなら、自己肯定感を高めることは何歳になってもできることで、遅すぎると言うことはないからです。今の自分の状態を見つめて受け容れ、少しずつでも自己肯定感を高めていけば良いとのことです。人を妬んだり恨んだり、失敗して落ち込んだり、将来が不安になったりしても、その自分をまるごと受け止めて、それでも「大丈夫。何とかなるから」と、人生を肯定できる力を身につけていけば良いのです。
中島輝氏によると、この自己肯定感を高めるための方法には、持続型と瞬発型があり、この二つを組み合わせることにより優れた効果を発揮するのだそうです。持続型としてはステップが 3 つあり、まず「自己認知」、そして「自己受容」、最後に「自己成長」とされており、そのそれぞれのステップで 3 つずつ、計 9 つの方法を紹介してくださっています。1 学期始業式の際に、私が皆さんにお話しした「Three good things」はステップ 3 「自己成長」の中で紹介してくださっています。瞬発型としては、なんと 24通りもの方法を紹介してくださっています。具体的には、「ヤッター!」のポーズ、鏡のなかの自分にポジティブな言葉をかける、少しだけ歩いてみる、「私ってイイ人!」と思って挨拶をする、十分な睡眠をとる、セルフハグなどです。ぜひ、ご自身にあった方法を選び、試してみてください。
心配なこと、不安なこと、苦しいことがあるかもしれませんが、今の自分にできることを精一杯行っていけば大丈夫、何とかなります。より豊かな 3 学期、そして 1 年にして参りましょう。
最後に高 3 の皆さん、卒業までの登校日数も一桁となり、これから自宅学習日と入試の日が続いていきます。やれる、できる、大丈夫です。つらくなったら学校に来てください。これまでの歩みを感謝して、進んでまいりましょう。
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